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第89話 意地悪なこと

last update publish date: 2026-10-24 18:15:17
「意地悪なこと?」

 千尋は頷き、スマートフォンをカウンターへ置いた。

 画面には、旧「糀ごよみ」へ千尋が書き込んだコメントが映っていた。

《六年前、私が具のない味噌汁を作ったと送った時、返信と一緒に、どんな料理の写真を送ってくれたか覚えていますか》

 その下に、旧「糀ごよみ」からの返信がある。

《もちろん覚えています。豆腐とわかめの味噌汁です。あの時、もっと栄養を取ってほしくて、私が作ったものを送りました》

「……写真?」

 糀は六年前のやり取りを思い返した。

 仕事に追われ、朝も昼も食べられない。そんな千尋が、やっと自分のために作った具のない味噌汁だった。

 もっと栄養を取って。次は具を入れて。

 あの時の糀は、そんなことを言いたくなかった。温かいものを作れたなら、それで十分だと伝えたかった。

 豆腐とわかめの味噌汁の写真を送った記憶もない。

「私、写真は送っていないと思います」

「はい。最初から、そんな写真はありません」

 千尋は別の画像を開いた。

 六年前の日付がついた、当時のやり取りだった。

《今日は、具のない味噌汁だけ作れました》

《温かい
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